Over the next half-century

トップインタビュー 

2018.11.01

プレスリリース

サンウェル 社長 今泉治朗氏


 市況悪化の中でも生地販売事業を伸ばすサンウェル。前年同期が悪すぎた反動でもあるが、堅調さが際立つ。ただし、将来に向けては課題も多い。モノ作りのスペースがタイト化する一方、供給過剰も顕在化。備蓄していれば売れるという時代でもなくなった。力点を置くのは企画精度の向上。顧客、商品、事業をしっかり「創造」することが肝要。今泉治朗社長に聞いた。


必要なものをタイムリーに

~海外製販や新規販路に力~


――貴社や業界にとって最もインパクトのある事柄とは何でしょうか。

 モノ作りのスペースがタイトになっていることですね。時間も人もスペースも不足しています。それは日本だけでなく中国も同じ。繊維・ファッション業界は供給過剰です。全世界的に物を作り過ぎている。大量廃棄の問題も世間を騒がしています。今後は無駄な物、売れない物を作る余裕はないし、作ってはいけないのだと思います。必要なものをタイムリーに作る。この意識を全体で高めていかないと、大変なことになります。
 企業としては、モノ作りの精度を上げていくしかない。顧客や市場を創造するという気持ちで売れるものをきちんと作る。無理をしてスペースを押さえて、備蓄して、結果売れず、在庫処分するのは愚の骨頂。このサイクルを正していかなくてはいけない。精度を上げるためには情報収集力が必須の条件になります。顧客や仕入れ先と常に情報交換し、一緒になって新しい商品を開発し、世に出して行く。そういう意識が大切なのだと思います。作り過ぎない。モノ作りの精度を高める。これが昨今言われるサステイナビリティー(持続可能性)にも寄与するのではないでしょうか。

――台風など天災の影響もあって、国内の物流もよりタイトになっています。

 当社への直接的な被害はありませんでしたが、提携倉庫が台風被害に遭い、染工場さんが停電したこともあり、即納サービスに影響しました。

――上半期(2~7月)を振り返ってください。

 前年同期が悪すぎたこともあって、全社も生地事業も売り上げは伸びました。製品事業は店頭が苦戦しており停滞局面。生地輸出は横ばいです。利益はコスト高の影響で全体として苦戦しています。

――中国法人は。

 対日OEMから生地の内販へのシフトをここ数年で進めており、半分強が生地内販になりました。

――下半期に入って、どのような推移ですか。

 19春夏向け生地の荷動きは鈍いですね。天候不順も背景にあるようです。別注の先物は好調なのですが、備蓄品は総じてあまり動いていません。

――備蓄型生地商社として、今後の備蓄の手法をどのようにお考えですか。

 ”持ち方”を考えていかなくてはいけない。作れば作るだけ売れた時代とは違います。作るスペースもタイトになっていますしね。
 定番品の備蓄を減らすつもりはありませんが、備蓄の濃淡はより鮮明にしていく必要があります。売り方にしても、本当の客を見極めなくてはいけない。本当の客でないのは、単に見本帳を持って行くだけの買う意思のない人。不特定多数の全てに対応するのは効率が悪すぎる。顧客を創造し、マーケットを創造し、商品を創造し、事業を創造する。順番も含めて、ここへと意識を変えていく。作ったものを売るのではなく、売れるものを作るということです。

――市場が縮小する中、新規販路開拓も重要になってきます。

 このほど開いた展示会でもアピールしたのですが、ユニフォーム分野はその対象の一つです。既に小口需要を取り込む形で実績を積んできています。先ほど申し上げた「創造する」という意味においても、ユニフォームという販路をしっかりと創造していく。そのための商品開発と提案を進めていきます。

――タイに続いてベトナムにも法人を設立します。

 輸出を伸ばしていくほか、海外での生地生産を加速します。国内のモノ作りをシフトするという意味ではなく、ASEAN地域への縫製シフトや現地での生地手配機運の高まりに対応したものです。タイ法人での事業は、周辺国も巻き込んで順調な推移です。現地での備蓄品番も拡大しています。ベトナムでも5~6年前から生地調達を進めてきましたし、こちらも順調。チャイナ・プラス・ワンでベトナムへの注目もより高まっているので、法人を設立してみようということになりました。
 生地の生産、販売が基本ですが、縫製品OEM事業との連動も狙います。日本人スタッフを一人常駐させ、綿100%やポリエステル100%、その複合などを生産、販売します。現地の生地メーカーや台湾系、韓国系、中国系との協力体制によるものです。


(繊維ニュース 平成30年11月1日)

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