Over the next half-century

トップインタビュー 

2019.10.31

プレスリリース

サンウェルの今泉治朗社長は「取引先数の多さこそが当社の資産であり潜在力」と話す。この“資産”はまだ最大限に生かされてはいない。幸いにして商品をスムーズかつ迅速に顧客まで届けるシステムは構築済み。システムに乗せる商品は「繊維にこだわる必要もない」。市況は厳しいが、この潜在力をうまく活用できれば将来は開ける。戦略を聞いた。

取引先数の多さが“資産”

~システムに何を乗せるか~

――日本の繊維産業が持つ潜在力とは何でしょう。
 日本には良い商品や優れたサービスがあります。しかし全体的に日本人は自らの価値や力に自信を持てていないと思うのです。良い商品、優れたサービスを提供できる力があるのに、それを適切な価値で売ることができていないのは自信のなさの表れではないでしょうか。中国や欧米の商品やサービスには、「えっ!」と驚くような価格が付けられていることも多い。日本ももっと自信と勇気を持って価値を発信していくべき。言い換えれば、価格を引き上げていくべきです。

――たしかにサービスという概念にお金を付けるのは日本人は不得意ですね。
 例えば日本では、スピードという概念が価格という形になることはほとんどありません。でも、アマゾンのように即日配達の際にはアップチャージを求めるところもあり、需要もある。即納機能自体をお金に変えるようなことも、業界全体で作り上げていくべきでしょう。

――サンウェルの潜在力はどこにあるでしょう。
 仕入れ先で数百社、販売先で7千から8千社と取引実績があります。この「数」は当社にとって大きな資産であり可能性だと思います。今はまだこの資産を最大限に活用し切れていない。その意味で潜在的な力と言えます。
当社には、無から有を生み出し市場に提案していくような力はありません。その代わり、定番品をシステムに乗せて提供することは得意です。幸いにしてシステムはあるわけですから、販売先の多さや海外も含めた仕入れのネットワークもあるので、もっと活用していくべきです。商品は何も繊維に限る必要もないわけですからね。

――上半期(2019年2~7月)の業績は。
 主力の生地販売は、第1四半期は前年同期比横ばいだったのですが、第2四半期に落ち込み始め、8、9月も同じ傾向です。18秋冬シーズンの店頭が思いのほか悪かったことを背景に19秋冬向けでアパレルからの生地発注が激減しました。8、9月の悪さには休日の多さも影響しています。ある意味で当社の業態は日銭を稼ぐ商売。休みが増えると単純に売り上げが減ります。
輸出は中国市場向けが米中摩擦の影響による同国経済の悪化なのか、やや減少傾向です。欧州向けは「ミラノ・ウニカ」への継続出展効果もあって少しずつ伸長しています。
製品事業と小売り事業は売り上げ横ばいながらもコスト高で利益率は低下しています。

――主力の生地販売では市況が悪かったということですが、ヒットアイテムはありますか。
 19秋冬向けではウールが駄目な半面、展示会でも訴求を強めたウール調合繊や機能素材関連は堅調です。

――サステイナビリティー(持続可能性)対応にも力を入れています。
 SDGs(持続可能な開発目標)への対応として、さまざまな素材や取り組みを打ち出しています。少量から即納するという当社の機能自体がロスを減らすという効果があり、サステイナブルだと言えます。中国、タイ、ベトナムの法人それぞれで生地を備蓄することも、生地の輸送時に排出される二酸化炭素の量を低減する取り組みです。
商材としては12年前から展開しているオーガニックコットンの打ち出しを改めて強めるほか、再生ポリエステルなどの環境配慮商材を取りそろえてニーズに応えます。

――国内産地の縮小、疲弊については。
 先日、各産地の主要仕入れ先に足を運んで、いろいろな話をしてきました。後継者難や人手不足などさまざまな苦難はありますが、中には設備投資を積極化する企業もいますし、吸収合併で技術を継承させるような動きも活発化しています。産地内や産地間をつなげるのも当社の役割の一つ。産地企業や染工場とはこれまで以上に関係強固化を図っていきます。

――今後の重点方針を。
 先ほども申し上げた通り、既存の備蓄販売システムと多様な取引先という資産をもっと活用する手法を考えていきます。取引先数の多さといった潜在力を顕在化していくということです。
外需獲得も大きなテーマ。中国、欧米という既存の国・地域以外の開拓も進めていきます。

(繊維ニュース 令和元年10月31日)

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