Over the next half-century

トップインタビュー 

2016.10.26

プレスリリース

サンウェル 社長 今泉治朗氏

 サンウェルは今月で創業50周年を迎えた。綿無地を主力に備蓄機能を発揮して業績を拡大。時代の要望に応じて製品OEM(相手先ブランドによる生産)、自社製品ブランド、小売り展開、生地のネット販売など先進的な施策を矢継ぎ早に打ち出してきた同社は、今後もさまざまな策を講じていく。基本はマンパワー。顧客の要望をくみ取り、それを企画、営業に生かす。このサイクルは不変だ。今泉治朗社長に戦略を聞いた。

市況悪化でもシェア拡大は可能

――本年度上半期(2016年2~7月)の業績はいかがでしたか。

 単体の売上高は前年同期比微減です。製品は自社ブランド、OEMとも横ばいですが、テキスタイル販売が微減でした。16秋冬向け生地販売は前半戦こそ堅調でしたが、後半失速しました。15秋冬の店頭が悪かったことが苦戦の背景でしょう。また、今に始まったことではありませんが、アウターウエアの機能性向上に温暖化も加わって薄着が定着、アウターとインナーの中間の服を着用しないという文化が定着したことも、秋冬向け苦戦の背景に挙げられます。ウール原料の高騰も影響しました。ただ、全ての先が悪いわけではなく、きちんと話し込んで商談できている先は当社の生地を買ってくれています。
 環境を言い訳にしてはいけないということです。当社の服地のシェアなどたかが知れている。それは国内も海外も同じ。営業マンによって売り上げに差が出るというのはそういうことです。

――生地輸出はいかがですか。

 前年を上回る推移ですが計画は未達です。仕向け先や商材で動きはまちまちです。耐える時期も必要で、ここでやるべきことをしておかないと先々の芽も出ません。粛々と手を打っていきます。

――生地販売で、ヒット商品はありますか。

 トレンドらしいトレンドがないのが現在のトレンドだと言えます。ここ数年間は、国産素材の見直し機運も手伝って、付加価値化、差別化の流れが強まり、当社もそういう素材を開発してきた。しかし、今は再びのデフレです。この流れに対応するためにも、定番品の拡販に改めて力を入れていきます。安い素材を求める機運はまだまだ強まりそうです。マンパワーの引き上げで、こうした情勢に対応していきます。

マンパワー引き上げる

――貴社が考えるマンパワーとは。

 商品や仕組みが同質化するなか、最後には人の力が決め手になります。企画にしても営業にしても、重要なことはターゲットを明確化し、顧客との接点の場を増やし、情報を仕入れ、それをモノ作りに生かすこと。企画も営業も、独りよがりではだめです。

――今後の重点方針をお願いします。

 EC市場の隆盛は無視できません。衣料品をネットで購入する消費者は着実に増えており、今後も増えるでしょう。当社の製品ブランドでも近い将来のネット販売スタートを視野に入れています。

――定番素材の即納サービスとして「おまたせしま10(テン)」を立ち上げました。全体スペースが縮小する中、今後は産地や染工場との連携がよりポイントになります。

 染工場の協力がこのサービスのベースです。ただ、最近は染工場で納期遅れが頻発、撚糸などの工程もボトルネックが顕在化しています。当社への影響もありますが、太いパイプを構築できているため仕入れの面で大きな問題は生じていません。ただ、将来的に日本のモノ作りがどうなっていくかという不安はあります。産地の若い世代には頑張ってもらいたいですし、当社や行政も含め、それを支援する取り組みや制度なども真剣に考えていくべきでしょう。

――5年後の業界をどう思い描きますか。

 そういうことは想像しないに限ります(笑)。目の前の状況にその都度対応することが優先です。もちろんグローバル事業の拡大など中長期の戦略はあります。当社は今月で創業50周年を迎えました。語呂も合うのでこれを起点に、近い将来、輸出売上高を50億円に引き上げることを目標に据えました。

 

好きな街 引っ越す気が起こらない

 悩んだ末に今泉さんが挙げたのは、自宅があり、人生の半分以上を過ごす大阪府吹田市。学生時代、前職の商社マン時代を含めて計三十数年間を吹田市で過ごしてきた。複数の高速道路が交差する交通の要衝でありながら、豊かな自然にも恵まれており、「引っ越そうという気が起こらない」。以前は一度くらい日本の中心、東京に住みたいとも思ったが、「今はもういい」。毎日の通勤は電車1本。ただ、各駅停車しかない路線のため、「特急や快速の通勤に憧れることはある」という。

(繊維ニュース 平成28年10月26日)

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