Over the next half-century

トップインタビュー 

2017.10.26

プレスリリース

サンウェル 社長 今泉治朗氏


 国内アパレル産業の低迷に連動して、国内テキスタイル市況にも暗い影が差す。生地のストック(備蓄)力を最大の強みとするサンウェル(大阪市中央区)にもその影響は訪れているが、今泉治朗社長は「考える」ことを重視して難局を乗り切る構えだ。待っていても商機はつかめない。考えて、動くことが市況の好転にもつながると確信する。


ストックサービスが力

~「考えて動く」を重視~


――貴社の独自性、強みとは何でしょうか。

 完全な独自性というものはなかなか見つけられませんが、強みと言い換えるなら、生地をストック(備蓄)する力と、それを可能にしてくれる国内外の仕入れ先の力だと思います。同業他社を見渡してみても、日本、中国、タイという3国でしっかりと生地をストックしているところは珍しく、これは独自性と言えるでしょうね。

――上半期(2017年2~7月)の業績はいかがでしたか。

 単体業績で前年同期比減収減益でした。製品ブランドの小売事業は微増収でしたが、生地事業も製品事業も減収を強いられました。前期の上半期が好調だったことの反動もあります。前期は8月ごろから悪くなり、それが今年7月まで続いた格好です。今下半期に入った8月、9月は前年同月比横ばいです。

――やはり衣料品市況の低迷が背景でしょうか。

 08年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災後の不況は日本の産業全体が悪かった。しかし今回の悪さは、政府の景気判断が伸びていることから見ても限られた業界のものであり、残念ながら繊維・ファッションがその一つということでしょうね。衣料消費不振が騒がれていますが、特徴の少ない商品の供給過剰が今の悪さの最大の要因ではないでしょうか。業界全体として需要と供給のバランスが取れていないということだと思います。

――生地輸出の拡大にも力を入れています。

 輸出は全体として伸ばすことができました。中国向けは安定した伸びで、韓国向け、香港向けは良くありませんでしたが、欧州向け、米国向けはほぼ横ばいでした。
 海外市場では改めて品質が重要な要素になっていると思います。価格も重視されるとはいえ、メード・イン・ジャパンにはそれ以上の信頼がある。この部分をおろそかにしていては、輸出拡大は実現できません。産地や染工場と一体になって、品質向上や付加価値化に改めて取り組んでいきます。

――海外拠点の事業進展は。

 中国では上海法人の出先機関として深センに事務所を開設しました。10月からの本格稼動です。上海法人の事業内容は、対日が減り、内販が増えています。これまでは対日が6割、内販が4割でしたが、前期で逆転しました。今後も力点は内販拡大です。日本製生地への要望の高まりを感じます。ここ2期は対日の苦戦を主要因に赤字を強いられましたが、今期からは回復基調です。
 タイ法人はほぼ対日縫製品で、生地手配は日本、中国、タイ、ベトナム、台湾製などで、縫製はベトナムが中心です。中国、タイともにストックサービスが好評です。中国では約250マーク(色数は別)、タイでは約20マーク(同)をストックしています。

――中国の事業環境も変化しています。

 中国に拠点を持ち、販売している身としては幾つかの懸念があります。一つは環境規制の強化、一つは人手不足です。環境規制が強まることで染工場など当社を取り巻く事業環境が今後大きく変わってくる可能性がありますし、人手不足も顕在化しています。こうした生産面での変化を注視しながら同時に販売を伸ばしていかなくてはいけません。それはタイでも同じことです。

――国内テキスタイル市場は今後、どう変化していくのでしょうか。

 まずは市況の回復を望みたいですね。そして、当社を含む供給者側がいかに考えて、提案できるか。それにかかっているのではないでしょうか。社員には「考えろ」と口を酸っぱく言い続けています。当社の強みは生地のストックサービスですが、サービス機能があるからと言って勝手に売れるほど甘い時代ではありません。顧客のニーズを把握して、綿密に準備を行い、提案する。過去の体験や惰性で仕事していては商機などつかめません。
 上半期中に生地のネット受発注システム「サンウェルネット」をより使いやすいようにリニューアルしたのですが、その結果、利用者が増え、好評です。このように、考え、動くことが今は本当に大事だと思います。それが市況の好転にもつながるのではないでしょうか。


(繊維ニュース 平成29年10月26日)

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