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リスク問屋の機能を追求 “繊維ニュース 平成21年11月20日(金)”
今泉治朗社長は今年9月、全世界で塾生5000人を超える盛和塾から稲盛経営者賞を受賞した。受賞したのは非製造業第一グループの第1位。売り上げ、利益を伸長させてきたことが評価された。名実ともに日本のテキスタイルコンバーターのなかで確固たる地位を築く同社だが、国内市場だけを販売対象としていてはジリ貧という見解は他社と共通する。「日本のテキスタイルは工業製品としての評価が高い」と今泉治朗社長は言う。品質安定性や納期管理に秀でるためだ。同社はそれに感性をプラスし、純輸出の拡大や、中国に進出した日系アパレルへの現地生地供給体制を整える。
★ 日本生地には優位性がある
【最近のテキスタイル市場についての見解と貴社の近状をお聞かせ下さい。】
当社はリスク型のコンバーターです。小口対応で中小規模の顧客へ生地を販売するというビジネスモデルが昨年までは安定していました。しかし、今年に入り様相は一変し、業績も落ち込みました。注文件数はほぼ横ばいですが、その中身が変化しました。1件あたりの注文量が激変したわけです。感覚としては7掛けぐらいでしょうか。また、客単価も下落しました。以前は1b当たり700円のゾーンが主流でしたが、今は600円が主流です。一方で1000円以上の高額品は安定していますが。 量の減少は、顧客がロスを回避し、必要量ギリギリしか発注しなくなったことが原因です。「在庫を持ちたくない」という意識が広がっています。また、市場を引っ張るようなヒット商品がないこともここ数年の大きな傾向と言えます。 着分見本の件数が激増しています。6年前の2.5倍、全体の注文件数を100としたら、そのうち70%が着分見本です。これでは手間の割には利益が残りません。 テキスタイル事業の業績は10数%の減少で推移しています。そのなかで比較的堅調なのは輸出関連ですね。中国で生地を手配するアパレルの動きに連動したもので、同時に東アジア向けの純輸出も拡大しています。日本の生地の機能性、品質安定性が求められているという実感があります。欧州はまだまだ仕掛ける時期ではないと判断しています。
【下期以降の重点戦略は。】
先ほど申し上げたとおり、大手アパレルが中国での生地調達を求めているので、この部分への対応を強めます。製品OEM絡みで商社さんとの取り組みも深耕していきます。“生地のコンビニ”と言われる当社のリスク問屋としての機能が評価されるはずだと認識しています。 純輸出の拡大も大きなテーマです。当面はアジアを中心に考えており、品質、納期などのトータル力で勝負したい。イタリアの生地は独特の感性とハンドクラフトの面が評価されており、中国生地は価格が大きな訴求力です。日本の生地は工業製品としての評価が高い。ここに独自の感性を加えれば、十分に世界と伍していけると思います。
【コンバーターと密接な関係にある国内産地や染工場の現状をどう見ておられますか。】
残念ながら産地企業の数自体はまだ減るかもしれません。適正規模はまだ見えません。当社の生機は海内品が多いですが、加工は7割が日本です。染工場の疲弊が著しいですが、危機感を抱えています。国内染工場に残ってもらわなくては当社のビジネスは成り立ちません。消費者に国産生地を使用していることをPRできればいいのですが。“生地の染色加工は日本、縫製は中国”という下げ札を製品に付けるなど、消費者への訴求を強めたいところです。
【製品事業、リテール事業の近状は。】
ODMブランド「ラデュレール」は苦戦中です。続いてミセス向けのODM「サンヴィタリア」を今年投入しました。キャリア向けの「ヴェロフォンナ」は今年の春に3店舗目をオープンしましたし、百貨店の催事販売要請も増えています。同じくキャリア向けの「ハウピア」は9月に新宿ルミネに店舗を構えました。子供服の「フィス」では商品価格を迎えた新形態店舗「カムチャットクローゼット(CCC)」を今年春から立ち上げました。現在4店舗を構えています。今後は CCCの伸長に期待し、ヴェロフォンナ、ハウピアの店舗数をもう少し増やしたいと考えています。
★低価格化にひとこと
〜多様な価値に対応すべし〜
「良いモノが安くなるなら価値があるが、安かろう悪かろうでは駄目」が基本スタンス。発展途上国で製造すればコストが抑えられるが、“売り切り御免”では消費者を裏切ることになる。消費者の価値観は多様化しており、供給者としてはどのような価値を提供できるかが重要との認識だ。「学生がファストファッションに流れるのは仕方ないが、それを卒業して本物志向に移行したときに何を提供できるか」がテーマ。所得が回復すれば、という注釈付きながら、「低価格一辺倒の流れはいずれ終わる」とみている。
















