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[2010.1.8]
稲盛経営者賞1位を受賞 “「和ッショイ」の精神で全員参加による目標達成目指す”
株式会社サンウェル
代表取締役社長 今泉治朗氏
繊維ファッション総合商社の潟Tンウェル(大阪市中央区平野町2-1-10、今泉治朗社長)は昨年、本社新社屋「サンウェルミューズ平野町」を竣工させた。ギャラリーを兼ねた新しい拠点は、同社のSPA戦略を結実させ、より高い品質を創造し発信していくまさに“母船”となる。一方、社外からは同社の好業績が高く評価され稲盛経営者賞を受賞した。稲盛和夫京セラ竃シ誉会長が塾長を努める盛和塾第17回全国大会で、非製造業第1グループ(売上高100億円以上)の第1位受賞に輝いた。今泉治朗社長に、稲盛哲学やサンウェルグループの方針などざっくばらんに語ってもらった。
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【入社4年のスピード表彰
好業績企業として高い評価
】
盛和塾は、京都の若手経営者が京セラ鰍フ稲盛和夫名誉会長から人としての生き方や経営者としての考え方、つまり人生哲学や経営哲学を学ぼうと1983年に集まった自主勉強会が設立の発端。現在全国に支部があり、会員数は5000名を超える。潟Tンウェルが受賞した稲盛経営者賞は、会員企業が提出した決算資料を審査し、好業績企業を表彰するもの。製造業と非製造業、それぞれ年商規模で第1グループ(売上高100億円以上)、第2グループ(売上高50億円以上100億円未満)、第3グループ(10億円以上50億円未満)、第4グループ(10億円未満)があり、同社は非製造業第1グループの第1位。受賞理由は「毎年売上を10%ずつ伸ばし、2年間で経常利益を74%アップさせた」こと。
「会員企業経営者は毎年決算資料を提出しているのですが、今回受賞理由となったのは2006年度と2007年度の2期間について、2005年度と比較して売上、経常利益がそれぞれ10%、74%アップしたことが評価されたものです。過去の実績であることに加えて、私自身があまり熱心に活動してきたわけでもありませんから、照れくさい面はありますね」
盛和塾には繊維企業経営者の誘いが切っ掛けで2005年に入会したという。入会4年でのスピード表彰だから、好業績企業として外部からの評価が高いことを裏付ける。
盛和塾での活動は毎月、各支部での例会(勉強会)が中心となり、年に一度、全国の塾生が集い、学び、交流、親交を深め合う全国大会が1泊2日の日程で開かれる。
「日頃の活動は支部によって異なりますが、月に一度開かれている例会では同じ塾生や稲盛経営者賞を受賞した人の話を聞いたり、自分達で体験談を発表したりなどしながら塾生同士が切磋琢磨する場になっています。例会で発表された経営体験発表については、全国支部の中から8人の方が選別されて、全国大会で経営体験発表をされます」
盛和塾第17回全国大会は昨年9月1日と2日の2日間にわたり、横浜市の国立横浜国際会議場で開催された。会員の半数以上の2900人近くが参加して会場は熱気につつまれた。会員企業の手弁当で運営される全国大会では、2日間にわたり8名の経営者による体験発表や、稲盛経営者賞表彰式、経営体験発表者表彰式、記念行事などがあり、稲盛和夫塾長の塾長講話で終了する。
「稲盛さんはアメーバー経営などいろいろな経営論をお持ちですが、むしろ人としての生き方といった人間哲学の魅力が大きいように思います。
今回の全国大会では第1位受賞ということで隣席させていただき、お話をお伺いする良い機会だったのですが、多くの方が集まられてほとんど会話らしい会話ができなかったのは大変残念です。」
【今泉信昭、稲盛和夫両氏の教え指針に励みたい
】
稲盛和夫という人間的魅力が人を惹きつけてやまないのだろうが、経営者としては「自己資本の充実」や「利他主義」「会社は社員が財産」「腹八分目の経営」など日本式経営をすすめ、近年の新自由主義の考え方とは対極にある。こうした経営哲学が若手経営者を惹きつけている。
「稲盛さんはいろいろ発言され、書物にも著しておられますが、『経営の原点12ヶ条』というのがあります。12ヶ条はいずれも当然な原理原則ですが、とりわけ「具体的な目標を立てる」「売上を最大限に伸ばし、経費は最小限に抑える」「値決めは経営」には共感できますね。
よく会社は誰のものかということが議論されますが、やはり社員のため、社員を大事にすることです。そして収益を上げて、税金を払い、世の中に貢献する。近江商人の売り手よし買い手よし世間よしという『三方よし』という考え方で、稲盛さんも同じことを発言しておられます」
熱心な会員ではなかったとは言うものの、5年間の例会、全国大会出席の経験は有形無形の実り多い会合でもあるようだ。
「折に触れて話される稲盛さんの原理原則論にも触発されるところは当然ありますが、様々な業種の経営者の体験談は大変参考になります。成功談も失敗談もありますが、とりわけ経営に失敗してどん底まで落ちて倒産直前にまで至ったなど、想像を絶する艱難辛苦の体験談を聞いていますと、私自身の甘さを痛感させられます。
当社には創業者の今泉信昭会長が制定された経営理念があります。『和ッショイの精神のもとに、全員参加による目的達成に努力すること、理想を高く、視野を広くもち、仕事を通じて自己育成を行うこと、社業の繁栄を以って各人の生活の向上を図り、社会に貢献すること。』です。稲盛さんの哲学との共通点も多く、新年度方針発表会などの節目で唱和し、根幹の思想としています。そういう意味で、今泉信昭会長と稲盛さんのお二人の考え方、教えの両方をミックスして、日々励んでいきたいと思います」
ちなみに、稲盛和夫さんの『経営の原点12ヶ条』は次のようなものである。
1.事業の目的、意義を明確にする
2.具体的な目標を立てる
3.強烈な願望を心に抱く
4.誰にも負けない努力をする
5.売上を最大限に伸ばし、経費は最小限に抑える
6.値決めは経営
7.経営は強い意志で決まる
8.燃える闘魂
9.勇気をもって事に当たる
10.常に創造的な仕事を行う
11.思いやりの心で誠実に
12.常に明るく前向きで、夢と希望を抱いて素直な心で
〜「リテール」「ブランド」を推進 社内に浸透する「和の精神」〜
社長就任後の2年半は先代社長の路線踏襲を心掛けてきました。会社としても環境的にはさほど問題がなかったですから、新たな路線に取り組む必要もあまり感じませんでした。ただ、山あり谷ありで、良い時ばかりではないでしょうから、会社の内部固めや新しい分野への投資などは実施してきました。
第三次計画では、テキスタイル以外の分野の展開ということで、「リテール(小売り)」、「ブランド」、「グローバル」を三つの重点戦略として取り組んできましたが、テキスタイルは今期に入り急激に市場が冷え込んでいますし、アパレルのOEM事業は当社の体質に合わなくなったといいますか、苦戦しています。
Q・・・OEMで苦戦しているのは御社だけではないですよ。
A・・・やはりOEMは下請け体質ですから、値決めが非常に厳しい。数年前からどちらか というと引きはじめましたね。その一方で、キッズカジュアルの「フィス」を足 がかりに、「リテール化」、「ブランド化」を意識して取組んでいます。高感度 キャリア女性向けブランド「ヴェロフォンナ」「ハウピア」も展開を始めて4年に なりますが、着実にリテールの業界で認知されてきたと思います。
フィスの場合は、日本国内でも高い評価をいただいていますが、欧米市場での拡 販を狙っています。現在ニューヨーク・ソーホー地区と西海岸のビバリーヒルズ に店舗があります。広告宣伝など一切していませんが、口コミで広がり、有名ス ポーツ選手や俳優なども顧客リストに入っているようです。
Q・・・ヴェロフォンナは昨年、本社の事業部に統合されて一体で運営されていくようで すが、それと同時に主力のテキスタイルの今 後の展開はどのように考えておら れますか。
A・・・ 国内売りは、アパレルの生産拠点の海外移転で需要が減っていますから、減少し ていきますね。やはり生産は中国になって いきます。今までですと、縫製は仕 方ないとしても、素材は日本から持ち込むというケースが多かったのですが、中 国でもレベルアップして日本製と遜色ないものが出来上がるようになり、物流費 や手間暇などのコストを考えますと現地調達の流れ が強まってくるでしょう。
そういう流れへの対応のため、上海に現地法人を設置したのが8年前です。業界で は比較的早かったこともあり、現地のテ キスタイル販売の実績は着実に増えて います。大手アパレル各社はこぞって中国縫製、素材は現地調達と言われていま すが、そうなる前に当社は中国に進出していたわけです。別法人で当社の業績と はあまり関係はありませんが、連結で見ま すとかなり中国シフトしているとい うことはありますね
Q・・・中国現地法人の年商規模は日本円でどのくらいですか。
A・・・前々期は7億円くらいで、前期は約9億円になると思います。
Q・・・どんどん伸びるという可能性は大きいのでしょうか。
A・・・まだ伸びるのではないでしょうか。ただ、当社の力不足で、商品も日本と比べる と約10分の1にとどまっています。
Q・・・中国で、日本的な展開をされれば一気に伸びるのではないですか。
A・・・そうでもないと思います。スタンスはあくまでも日本のサンウェルと同じです。 小ロット、クイック生産によるスピーディーな納品というスタイルです。
Q・・・国内は厳しいとは言うものの、御社は多くの得意先抱えておられる。まだまだ増 える可能性はあるのですか。
A・・・国内では、倒産や廃業する企業の方が多いです。確かに未開拓な企業はあります が、限度はあるかなとは感じています。ただ、当社としての活路は、お得意様 一社一社と広く浅くという取引をしていますから、あまり掘り下げて取引してる 企業が少な いことです。
Q・・・それが1つの課題ですか。
A・・・その通りです。ただ、大手、中堅アパレルの海外進出が相次ぐ中で、国内の素材 を扱える企業がどこまで残るのか、残っているのかという問題はあります。
Q・・・昔のようにテキスタイル事業を拡大できないとすると、やはりリテールやブラン ド戦略を強める考えですか。
A・・・テキスタイルは当社で在庫して、利益も残るような値決めをして販売してきまし たが、それもやや頭打ちになってきています。中間業者では今後厳しくなる一 方でしょうから、直接自社でイニシアティブをもって売れるものを作ることが必 要だろうと思います。ブランド戦略という面では、フィスのM&Aは大変うまく いきました。ただ、グループ企業へのシナジー効果を発揮すると いう面では、 フィスは子供服ですから、テキスタイルやアパレルとの接点があまり多くはあり ません。
Q・・・シナジー効果ということではヴェロフォンナ、ハウピアの拡大が課題でしょうか。
A・・・そうですね。併せて現在4店舗です。昨年、1ヶ月間の期間限定で東京・新宿のル ミネに出店したのですが、好成績を上げまし た。出店は営業の売り込みの成果 ですが、ヴェロフォンナの売り込みに対し、相手側は「ハウピア」に関心を寄せ られ、今年 の7月まで約1年間出店することになりました。ハウピアはアパレル 部のオリジナルブランドです。
二つのブランドは別の部隊で展開していますが、社員1人ひとりが全社的な意識 を持っている。当社の強みは自由闊達な企 業風土、社内の風通しの良さです。 会長が制定した社訓『和の精神』が浸透していることです。「和ッショイ」のス ローガンのも と、厳しい環境の中も高い目標を掲げて取組んでいきたい。


















