Over the next half-century

テキスタイル製造卸 トップに聞く

2022.03.15

プレスリリース

サンウェル社長 今泉治朗氏

コロナ禍経て収益体質に転換 ~素材の安定供給に注力~

 

在庫持ち合い広く提案

――22年1月期を振り返って。

 前期比で3%ほどの増収となり、営業利益も増益となりました。製品事業はレディスなどのOEM(相手先ブランドによる生産)が取引先のブランド廃止など低迷しましたが、テキスタイルが回復しました。綿の無地、合繊、先染め織物の3本柱がおおむね堅調です。2年前から在庫を整理して、得意分野の3つに絞り込み、収益体質改善に取り組んだ成果が出てきました。海外では中国が昨年好調で、ウール調や麻調合繊などが人気でした。アメリカも堅調です。

――今後の懸念材料は。

 原材料高ですね。もちろん経費やコストの削減には取り組みますが、全面的にコストが上昇、企業努力の範囲を超えてしまっているので一定の値上げはせざるを得ません。3月1日から一部定番品の単価は実施させて頂きました。定番商品が多いこともあり、我々の供給責任は重いと感じています。原料やスペースをしっかり確保して、安定供給を実現していきます。
 3本柱に集約しましたが、それ以外のウールやカットソー、プリントなど色々と止めたわけではありません。他社との協業や在庫の持ち合いで提供の幅を狭めないようにしていきます。

素材だけでなく

――サステイナブル(持続可能な)への取り組みを強めている。

 関連商材は広がりつつあります。オーガニックコットン使いの「CO.Organics」(コードットオーガニックス)や繊維廃棄物を再利用した糸を用いたストレッチ素材「RE;NAPES」(レナペス)、リサイクルナイロン使いの「Re;CONHny」(リコンフィー)などブランドを充実してきました。エコな素材を提案するだけでなく、困っている人や立場の弱い人のお役に立てることにも力を入れていきます。障害者の自立支援「パラリンアート」企画や、綿産地での危険な児童労働から子どもを守り就学を目的とした「ピースインドプロジェクト」、子会社フィスでも難病指定の子供たちに寄付する活動を実施するなど、企業姿勢として、そうした取り組みを進めていければと思います。

――そのほか、今期の重点方針は。

 海外やリテール、消費者と、異業種も含めて未開拓の市場がまだまだあります。資材、ユニフォーム用途なども含め販路開拓は大きなテーマです。
 社内では目標管理制度、評価制度を刷新します。専門のコンサルタントを入れ、属人的、セクション単位であったものを標準化していく狙いです。一部トライアルも始めており、今まで見えにくかった人材の発掘に役立っています。
 DX(デジタルトランスフォーメーション)についても基幹システムの入れ替えを計画しています。在庫管理が主な目的にはなりますが、セキュリティー面も強化され、来年に完成する見込みです。個人的には“アナログトランスフォーメーション”も大事ではないかと思っています。意識改革とでもいいますか、メールなど便利になった一方で、コミュニケーション不足も見られるようになってきました。フェイス・ツー・フェイスでのコミュニケーションもしっかり取っていければと思います。

(2022年3月15日 繊研新聞)

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