2021.10.15
プレスリリース
生地商社
サンウェル(大阪市中央区)の今泉治朗社長は「持ち合い」という言葉で同業他社との連携の必要性を強調する。備蓄系生地商社のビジネスモデルは、幅広い種類の生地を備蓄し、顧客の多品種・小ロット・短納期ニーズに応えるというもの。ただしこの手法には常にリスクがつきまとう。トレンドの旬を過ぎた生地、狙いが外れて作り過ぎてしまった生地は不良在庫化し、倉庫代ばかりがかさむ。見切り処分しても二束三文でしか売れない。
備蓄にかかる費用を捻出できる資金を潤沢に持ちつつ、市場調査によって商品企画の精度を高め、リスクを極力回避するというノウハウを各社が積み上げてきた。しかし、市場が縮小する中でリスクは増大。この回避策の一つが「持ち合い」だ。
同社は前期(2021年1月期)末に大胆に在庫処分を実行した。得意分野に位置付ける綿無地、合繊無地などはこれまで通り手厚く備蓄するが、それ以外の備蓄数量を減らした。顧客からそれ以外の注文があった際には、納品までの時間があれば生産に取り掛かり、時間がタイトであれば、同業他社を紹介したり、生地を融通してもらう。プリントを得意とする北高(同)など数社の同業が趣旨に賛同しており、製品サンプルに複数の生地商社の生地を使った際には生地の出所会社の名を全て製品に記載するような取り組みも始まっている。
(繊維ニュース 2021年10月15日)