Over the next half-century

この人に聞く

2023.12.04

プレスリリース

サンウェル 社長 今泉 治朗 氏

企業経営は「利他の心」で


 SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みやCSR経営の重要性が高まっている。他産業に比べて後れを取っているとの指摘もある繊維産業でも不可避の課題だ。サンウェル(大阪市中央区)の今泉治朗社長に、業界を代表する生地商社としての現状認識と方向性を聞いた。

――早くからサステイナビリティーやCSR経営の重要性を語ってこられました。

 当社は長年、多様な生地を備蓄(在庫)し、少量から即納することを強みとしてきました。この強みは今もこれからも変わりません。われわれのような業態の会社が、必要な時に必要な数量の生地を供給することで、アパレルなど製品の「作りすぎ」を防ぐことができます。SDGsの「つくる責任・つかう責任」を実現するビジネスモデルであると自負しています。
 「作りすぎ」を防ぐという観点は当社にも当てはまります。必要とされない生地を作っていては地球環境に良くはなく、当社の業績にも影響を及ぼします。この考えに基づいて当社は数年前から、「綿系無地」「先染め」「合繊無地」という三つの生地カテゴリーに力点を集中させることにしました。合理的判断に基づいた「選択と集中」であり、この三つのカテゴリーについては『新商材、定番品を含めより広く奥行きのある備蓄体制』を築いています。
 また再生ポリエステル使いやオーガニックコットン使いなど商材面でもサステな開発を続けていますし、回収生地サンプル帳をサーキュラーエコノミーペーパーとして再生する活動や、障害者支援のパラリンアートとの協業生地の販売なども積極的に進めています。

――CSR経営については。

 商社は人が力です。働きがいを感じてもらえるよう、上司が部下に定期的に面談し、意見をしっかり聞きながら伴走していく体制を取っています。それに加え、給与も働きがいに直結する大事な要素です。今春には上場企業の平均賃上げ額を超える賃上げを行い、かつ公正な評価制度を整え運用しています。

――故稲盛和夫氏の「盛和塾」に入塾されていました。やはりその影響は大きいのでしょうか。

 当然、私自身の考え方と経営スタイルに大きな影響がありました。サステ商材開発や、取り組みへの参加、従業員の物心両面の幸福を向上するのは京セラフィロソフィに基づいたものと言えます。これからも社会と社員のために尽力する「利他の心」を持ちつつ、一味違うエッジの効いた経営に当たっていきます。

(2023年12月4日 繊維ニュース)
 

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