Over the next half-century

テキスタイル製造卸トップに聞く

2024.04.18

プレスリリース

ワンストップ提供が強み

サンウェル社長 今泉治朗氏

独自性と創意工夫で差別化

中国、東南アジア堅調

 ――24年1月期は。

 上期までは前年並みで好調でしたが、昨年8月ごろからテキスタイルが落ち込み、減収微増益となりました。百貨店向けアパレルなどで余剰な在庫を持ちたくないというサステイナブルの意識が浸透、売り上げ重視から利益重視へ変わったことも影響しました。顧客の中にはコロナ禍を経て企業体質が改善したところもあり、そうした企業向けは好調ですが、全体的なボリュームは減っています。
 製品OEM(相手先ブランドによる生産)は堅調でした。自社テキスタイルを活用した製品の提案が進み、利益を確保できました。ワンストップ提供できることが強みになっています。全体で利益面では人件費などを上げた一方で、効率的な事業運営を進め、増益になりました。

 ――海外の状況は。

 海外は、中国国内販売や東南アジア向けが堅調でした。各国の現地法人と連携し、ベトナムや上海の展示会に参加しています。日本、中国、タイと3拠点でテキスタイルを在庫しているため、グローバルでもワンストップで提供できることが強みになっています。
 価格については、コスト低減などの企業努力で値上げを抑えています。4月からは「物流の2024年問題」が本格化することもあり、そうした点については一部転嫁せざるを得ない部分もあるかもしれません。

 ――DX(デジタルトランスフォーメーション)は。

 広がりはまだまだですが、備えは必要でしょう。米国発の3Dデジタル生地プラットフォームの「スウォッチブック」はどうしても浸透に時間がかかります。スニーカー向けでの実績があるので、バッグや帽子などの服飾雑貨は比較的やりやすいのかもしれません。バーチャル試着など、実際の現場でどう増やしていくかが課題ではないでしょうか。今の機能だけでは一服感がありますね。

付加価値品を重点に

 ――今後の見通しは。

 厳しい事業環境からのスタートです。そこでキーワードになるのが独自性と創意工夫。多機能で加工などを凝らした糸軸の物作りによる、高付加価値と独創性が今期の重点施策となります。これまでは定番品を中心にリーズナブルなものの引き合いが多かったですが、コロナ禍が落ち着き日常生活や購買意欲が戻り、より付加価値が高いものやワンランク上のテキスタイルの引き合いが増えてきました。品質管理が向上している中国産生地との競合が厳しくなるでしょう。ツイーディ―コットンシリーズ「クロモア」や、三栄コーポレーションと協業し販売しているイーダイ(香港)の無水染色(原着)技術を使ったテキスタイルなど、独自性の高い工夫を凝らした製品で差別化していきます。
 作り手も客も社会も喜ぶ、「三方良し」なサービスの提供が求められています。グローバルと、ワンストップ商品提供をテーマに、付加価値品の提供に力を入れます。

(2024年04月18日 繊研新聞)

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