Over the next half-century

テキスタイル製造卸トップに聞く

2025.04.11

プレスリリース

付加価値のある素材が重要に

サンウェル社長 今泉治朗氏

〝どう売るか〟がポイント

子供用の素材堅調

 ――25年1月期は。

 テキスタイル、製品OEM(相手先ブランドによる生産)など全体的に苦戦し減収減益でした。サステイナブルの流れで廃棄を減らすために追加も含め発注が抑えられ、生産量が減少しています。余分な物を作らない、実需に即した物作りが主流になりました。リユース市場の拡大による影響も受けました。輸出も中国現地企業からのオーダーが細かくなり、ビジネスが複雑になっています。

 個別で見るとアパレルの婦人用は苦戦しましたが、子供用は好調でした。海外向けの調子が良かった。素材開発も子供の着用を意識して、例えばデニムなら重くてゴワゴワした質感の物ではなく、軽くて柔らかい物にするなど、考え方を切り替えて開発しています。ユニフォームは合繊の定番品が堅調でした。

 ――海外の状況は。

 3月のインターテキスタイル上海アパレルファブリックスでは現地でも小ロット短納期に対応する企業が現れていました。定番品のレベルも向上してきている。そこで重要になるのが差別化。中国や東南アジアの最新鋭の機械を持った工場で作れるような大量生産品ではなく、生産量は少なくても着心地や風合いに優れた知る人ぞ知る、付加価値を持つ素材が必要です。

 付加価値のある素材を提供するために欠かせないのが日本の産地。天然繊維調の合繊や先染めの綿無地など凝ったテキスタイルを作るには産地との密な連携が必要です。一方で人手不足や納期の長期化など、物作りの現場は非常に厳しくなっています。課題は理解しつつも、現場だけでは手に負えないのかもしれません。我々としても、例えば新たに機械を投資するための工賃の価格交渉など、諦めずに現状を変えようとする方には積極的に支援していきます。産地の背中を押す投資は前向きに取り組みたいですね。

トレンドに合わせて

 ――今期の見通しは。

 国内市場は良くも悪くもならない、横ばいだと見ています。伸びるとしたらインバウンドが、減るとしたら少子化が要因になります。アパレル業界が厳しい中、トレンドに合わせた物作りや企画提案に力を入れます。より価値を加えたもの、例えば年々暑くなる夏に向けて、機能性を持った綿の無地などがハマるはず。昔もそのような物の開発はしていたのですが、効果がないなど様々な理由で受け入れられていませんでした。今は品質も向上しているので、より価値を持たせた素材を打ち出していきます。海外ではタイの拠点を中心に、インドやベトナム周辺の開拓を進めたい。若手や中堅も積極的に派遣し商談に取り組みます。上海には以前から積極的に出張で人を送り、現地で直接商談を進めています。ただ物を売るのではなく、どのような方法で売り、結果を出していくかを重視しています。

(2025年4月11日 繊研新聞)

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