Over the next half-century

生地輸出連載 悲願達成に向けて

2025.05.26

プレスリリース

サンウェル テキスタイル販売第2事業部国際販売部第11チーム 部長 川端 博士 氏

備蓄力と対応力で勝負

 生地輸出拡大は日本繊維産業の悲願と言える。その鍵を握る生地商社のキーマンに現状と展望を聞く。

――生地輸出の現状は。

 輸出拡大は当社の大方針です。フランスの「プルミエール・ヴィジョン・パリ」、イタリアの「ミラノ・ウニカ」、ベトナムの「VIATT」、中国の「インターテキスタイル上海」「同深セン」ドバイの「IATF」、韓国の「プレビューインソウル」などの海外生地展に出展するのはそのためです。

 2025年1月期の輸出売上高は前期比で減収でした。中国向けの大口を落としたのが痛かったのですが、その他は軒並み増えました。特に韓国向けが好調に推移しました。米国向けも伸びましたし、分母はまだ小さいながら欧州向けも拡大しました。

――中国向けが苦戦の理由は。

 米国ブランド向けが停滞したことで、中国の生地メーカーが内販に力を入れていることが理由の一つだとみています。

――輸出拡大に向けた課題は。

 欧州ではトレーサビリティーや環境配慮で各種認証が必須になってきています。商品開発含め、産地企業や染工場と一体になってこの課題をクリアしていくつもりです。認証についての研究会も社内で立ち上げました。

――特に期待する市場は。

 全方位ですが、中東のファッション向けは楽しみな市場であるとみています。ベトナムも展示会出展の成果が早速出ました。欧米向けでは縫製商社と連携した開拓作業が進んでいます。

――自社の強みを。

 生地を広く深く備蓄していることで小口・即納要求に対応できることです。日本、中国、タイの3カ所で備蓄しているため現地渡しにも優位です。1反、2反の顧客を大切にしています。

 顧客の要望に対してイエス・ノーをはっきり伝えた上で、他社の生地含め柔軟に対応する機能も磨いています。加えて輸出用の自社生地開発にも力を注ぎます。今年は不透明感が強いですが、中長期で見て必ず輸出拡大は成ると考えています。

(2025年5月26日 繊維ニュース)

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